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タイトル
2003年12月・2004年1月合併号より

平成15年度 学校基本調査報告書 分野別分析 その1 工業
 → 入学者数は3年連続の微減。“資格取得”以外のセールスポイントが必要


 平成15年度の「学校基本調査報告書」が文部科学省から刊行されたので、今月号から数回に分け、専門学校を分野別に見ていきたい。データは同報告書の50分類によるもので、これをもとに平成4年度から15年度までの定員数・入学者数の推移を見てみる。

■入学者数は実数でわずか29人減少

 第1分野(工業)の入学者数のピークは、平成3年度の10万4,487人。以降、8年度を唯一の例外として、毎年減少し続けてきた。ただし、12年度はわずかに上昇に転じた。これが再び全盛期への折り返しになるのか、あるいは8年度のように一過性のものに終わってしまうのかが注目されたが、13年度、14年度に引き続き、15年度も減少(実数で29人減)、3年連続の微減となった。

 工業全体の15年度の入学者数6万1,069人という数字は3年度ピーク時10万4,487人の60%以下にまで縮小したということであり、商業実務・外国語分野と同様に、専門学校の各分野の中では、比較的厳しい状況に直面している分野といえる。(次ページ以降の表は、専門学校全体のピーク時である平成4年度を100として計算)。

 10年度までもかなり大幅な減少が続いていたが、11年度は対前年度比の減少幅は縮小した(8.7%、6,037人減)。12年度は一転して微増となったが、13年度から再び減少し、14年度、15年度とその傾向が続いている。 以下、文科省の分類に従って入学定員数、入学者数の動向を見てみよう。

★101 「測量」

 この系はもともと規模が大きくない。「測量士」資格の取得を目指す学科がほとんどであるため、めまぐるしく変化する社会の動きに過敏に反応することは少なく、比較的安定している系といわれていた。

 そのために、入学者数のピークも工業全体のピークとは異なって、次の102「土木・建築」と同様に8年度にずれ、他の系とは異なった推移をしていた。しかし、8年度以降は一転して減少となり、この傾向は15年度にも引き継がれ、対前年度比で19.0%、実数で234人の大きな減少となった。

 102「土木・建築」と同様に、いわゆるゼネコン不況の影響をもろに受けているのが一番の原因と考えられる。また、「測量士」という資格取得だけを看板に掲げるのでは、もはや受験生の心をつかめなくなっているという側面も無視できない。

★102 「土木・建築」

 この系はその性格上、前の「測量」と同様の推移をする傾向にある。したがって、入学者数のピークも8年度にずれている。

 建築士などの国家資格関連の学科が多く、社会の動きによって入学者数が大きく左右されることは、もともと少ない系であった。しかし、昨今のゼネコン不況の影響で、8年度以降一貫して減少傾向を続けていた。 しかしながら、15年度は対前年度比で6.3%、実数で516人の増加となり、8年度以降初めて増加に転じた。ゼネコン不況は続いているが、一定の需要がある系であり、日本経済が底離れしつつある状況と無縁ではないかもしれない。いずれにせよ、今後も注意深く見守る必要があろう。 なお、109「その他」の中には製図、製図トレーサー、環境設備などの類似学科があるので、それらと合わせてのこの系の分析が必要である。

★ 103 「電気・電子」

 この系は、2年度が入学者数のピークで、以降11年間にわたって毎年入学者数は減少し続けている。15年度の入学者数2,188人は、2年度ピーク時7,903人の30%以下の規模であり、深刻な状況に直面している。

 この系に属する学科の多くは大学の工学部などにもあること、また、日進月歩する技術の進歩をフォローアップするには、専門学校の2年間では不十分であるということの影響も大きい。このことは、次の104「無線・通信」にもいえることであるが、専門学校の独壇場という印象がもはや薄れているといえる。

★104 「無線・通信」

 入学者数のピークは2年度で、以降は5年度の一時的増勢はあったものの、減少をたどり9年度には937人にまで入学者数を減らした。10年度からは回復に転じたが、14年度は対前年度比16.5%減、15年度も対前年度比19.4%減、実数で277人の減少となった。

 もともとこの系は規模が小さく、また、103「電気・電子」と性格的にも類似しているので、両系を合わせてみた方がより実態に即した分析ができる。

★105 「自動車整備」

 工業関連学科の中で最も堅調な動きを見せているのがこの系である。8、9年度を除けば、常に上昇基調を続けている。15年度も対前年度比6.0%増を記録した。実数でも790人増加し、他の系に比べ堅調ぶりを示している。

 資格関連学科であるが、かといって大学などに同様の学科がほとんどないこともあって、今後も安定した動きが予想される。

 なお、この系は、109「その他」の中に、自動車工業、航空工学、航空整備、航空機整備、自動車地質調査などの学科があるので、それらと合わせて分析する必要がある。

★106 「機械」

 かつてこの系は、ほぼ2千人台の規模を維持していた。しかし、5年度に2千人を割ってからは一直線に下降していた。しかし14年度には一転して実数で67人増、15年度も72人増加し、2年連続でわずかではあるが増加した。

 規模的には、工業のなかでも小さい系であり、宿命的に大学の学部との競合関係にあり、専門学校教育でなければ、という特色を前面に打ち出さなければ、大学などとの競争には勝てそうもない。最近の増加傾向は、そうした状況にうまく対応し、大学との住み分けができてきている可能性を示すものとして注目される。

 なお、「その他」にある工業や造船、金属などはこの系の同類としてみた方がより実態に即している。

★107 「電子計算機」

 12年度、13年度と回復傾向にあったが、14年度は対前年度比で8.9%減、15年度も対前年度比で1.9%、実数で60人減少した。この系の入学者数のピークは3年度の8,173人で、40%以下の規模にまで縮小していることになる。

 かつては花形の一つとして人気を得ていた系であるが、昔日の面影はもはやない。もともと、次の108「情報処理」と合算して分類すべき系であるので、詳しくは次の項で見てみたい。

★ 108 「情報処理」

 入学者数は対前年度比で2.7%、実数で650人減少した。4年度の49,048人がピークで、以降は8年度を例外として下降の一途を辿っていた。13年度には増加に転じたが、14年度には再び減少、15年度も減少した。

 「電子計算機」とともに、専門学校を代表する学科だったが、現在ではもはやその面影がない。実態からいえば「情報処理」と「電子計算機」は一緒に考えた方が、より現状に近いので、以下一緒に見てみる。

 この両系は、工業の中で最も規模が大きいだけではなく、専門学校全体のトップランナーでもあった。しかし両系とも次第に減少傾向が続くようになり、13年度に増加に転じ復活のきざしを見せたかにみえたものの、14年度からは再び減少傾向に戻った。

 最近の大学では、理工系以外の学部でも、最新鋭のコンピュータを導入し、情報処理能力の育成を図っている。米国でもITバブルが崩壊、コンピュータ神話が崩壊する中、「これをやっていれば就職は大丈夫」という短絡的な思考ではなく、大学進学も含めて、高校生がより広い視野で将来の選択肢を考えるようになっている。

 情報処理はそれだけでどうにかなる能力というよりも、創造力など「プラスアルファ」が求められている分野だといえる。従来のマンネリ化した学科ではなく、社会のニーズを反映した学科設置を積極的に行うことで、復活の足がかりを得る必要があるといえる。

★109 「その他」

 この系の中には、以上に見てきたように他の系に統合して見た方がより専門学校の実態に近いものも含まれている。

 本来ならばこの系に分類されるのは、それらを除く、応用化学、公害、眼鏡、時計眼鏡宝飾、眼鏡技術、写植オペレーター、遺伝子工学(バイオテクノロジー)などがあげられる。

 入学者の動向を見ると8千人前後でおおむねね安定していたが、14年度は7千人台に下降、15年度も実数で78人が減少することになった。

■大学との競争は一段と激化

 入学者数が専門学校全体のピークとなった平成4年度には、10万人という大きな規模を誇っていた工業関連分野であるが、現在は年々規模を縮小しており、15年度も6万1,000人台だった。しかし、かつてのリーダー的存在であるこの分野への期待は大きい。規模の回復への鍵は、すでにある状況にどのように対応するかということにある。18歳人口の減少は今後も続くし、不況は今日明日に解消されるというものではないからだ。

 不況以外の入学者数減少の要因としては、工業分野に関連する資格が、大学や短期大学の関連学部や学科でも取得可能であることがあげられる。そのために、実質的に無試験といわれる短期大学はいうにおよばず、4年制大学へも大量に学生が流出している。また、資格取得だけでは、受験生が魅力を感じなくなっているという側面も無視はできない。資格取得を「売り」にしていた学科でも、入学者が減少し始めていることがそれをあらわしている。

 これらには、資格制度自体の老朽化という問題もあるが、それ以上に創造する努力、若い人を引き付ける魅力を創造することを怠っているからではないだろうか。資格取得ということでいえば、少子化の時代状況下、大学も職業教育に力を入れはじめており、付け焼刃な対応では、大学に負ける恐れもある。

 全体の入学者数に戻ってみても、15年度は前年度比微減だった。専門学校の入学者が4年連続して増加する中、工業分野の不振が目立つ形となっている。このままなんとか6万人台をキープするということではなしに、再び専門学校全体を引っ張るリーダーとしての勢いを取り戻してほしい。そのためには、もう一度創造力を働かせ、専門学校でなければできない学科の工夫が必要であると思われる。(石田)




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