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タイトル
2002年2月号より

専門学校の特異分野における学習のあり方とは?
 → 日本電子専門学校コンピュータミュージック科、「1,2年生合同発表会」にみる成果と展望


■どこからがプロなのか?
 
 いまさら言わずもがなの指摘になるが、専門学校が大学と異なる最大の特徴は、明確な職業意識を持たせ、その訓練を通じて社会の即戦力となるよう教育を施す点にある。大学はそうではない。幅広い知識と教養を身につけることにより、社会生活全般に対して貢献できるよう期待されてはいるが、医・歯系統等ごく一部を除けば、必ずしも特定の職業人を養成する機関ではないといえる。したがって専門学校の専門学校たる所以はいかにプロフェショナルを育成していくかに掛かっている。

 ところが専門学校の中には、どこまでがプロでどこまでがアマなのか、判然としない職業を養成する学科が存在する。具体的に言えば、ミュージシャン、イラストレーター、漫画家、ゲーム作家、タレントなどの、いわゆるエンターティメント分野、アーティスト系の学科である。タレント養成の学科を卒業した全員がタレントになれるとしたら、それは奇跡だ。イラストレーターと書いた名刺を出版社に配り歩いたその日からキミもプロなどという冗談が冗談でなくなってしまう世界なのである。
 では、こうした学科を持つ専門学校はどのような教育姿勢をとるべきなのか、あるいはそこで勉学にいそしむ学生はどのような姿勢で望んでいるのか。これを今回のテーマに、日本電子専門学校のコンピュータミュージック科が2月14日に行った「2001年度1・2年生合同発表会」の取材をもとにレポートしてみたい。

 まず、発表会の基本的な性格から書いておくと、これは年に一回、1年生と2年生がそれぞれの課題に沿って制作した作品を、同校の学生、友人、父母、教員、就職関連企業等の前で披露して見せるというもので、当日集まった観客は約150名。一人づつ演壇に上がって、マイクを持って自己紹介してから演目に取りかかる。とはいってもコンピュータミュージックであるから、仰々しいアクションがあるわけではないのはもちろんで、簡単な操作で突然立体的な音像が出現する。マックに「デジタル・パフォーマー」というシーケンス・ソフトを代表とする各種の音楽関連ソフトを入れて制作されたものだ。

■プレゼンする能力の育成もテーマに 

 学校としてのこのイベントの狙いは、おもに4点。第一に、学生は全員がクリエーターであるから、相互に作品を鑑賞し合うことによって刺激を受け、学習意欲の向上につながるという点。これは最も重要なことで、こんなにダイナミックな音楽が作れるのかという感動を抱く者もいるだろうし、1年生でここまでやれるのかという焦りを持つ者もいるだろう。さらに2年次の学習がどういう内容になっていくのか、どんな科目を自分は選択すべきかという事も1年生には見えてくる。第二には、ゲーム・ソフト制作会社を筆頭にする就職関連企業への直接アピールである。ただ、これはまだ学科から有名人を輩出していないという理由から十分な集客が出来ず、苦戦している。

 第三には、社会人として人前でプレゼンテーションする能力を培うこと。これが見ていてかなり驚かされた点で、しどろもどろになってしまう学生がまったくいない。やけに消極的な創作動機を語る者や、天然ボケのおおウケ野郎も中にはいたが、プレゼン内容そのものはともかくとして、全員実に落ち着いていた。そういえば一人だけ「この曲は嫌いな人は一生嫌いでしょう」とぶっきらぼうに言い放った傲慢な学生がいて、ここではあえて実名は伏せるが確か内田大志君だったように記憶する。しかし彼の音楽はサンプリング・ループを多用した反復型ノイズ・ミュージックで、その態度同様、不快感がいつのまにやら快感に転化しているという点で、ロックのセオリーにのっとったものであったことも明記しておかねばならない。そして、第四が学校全体としての広報活動ということになる。

■コンピュータ一台でこんなことが 

 さて、話を発表会に戻そう。コンピュータミュージックというと、一昔前には単調で厚みのない、いかにも機械的なサウンドが連想されたが、現在ではビートの「ため」や「つっこみ」といった、グルーブの元となるランダム性を人為的に生み出すコマンドや、入力したデータをより人間的なものに編集し直すヒューマナイズというコマンドまで用意されていて、パソコン一台でもそのサウンド構築性の高さには相当なものがある。複雑なビートも、自然な音色も、荘厳なオーケストレーションも、なんでもありである。学生達は色々なソフトを使いこなして、思いのままの音楽が作れるよう訓練されている。

 ただしここでポイントになるのが、学生達は全員がプロのミュージシャンになることを希望しているわけではないということだ。テレビや携帯電話のゲームのバック・トラックを作りたい人もいれば、CM音楽を作りたい人もいるし、マニピュレーターを目指す人も、あるいはなんでもいいから音楽業界と関わりたいという人もいるはずだ。すなわち明確に職業としての観点から音楽に取り組んでいる者が多数いるということだ。専門学校なのだから当然と言えば当然だが、学科の性質を考えると、ひとまず音楽に対しての視野を広げておくといった2年間であっても良いとも思える。

 しかし、櫻井和子学科長はこうした考え方に対しては非常に慎重だ。本人と両親がそのように完全に納得しているというケースであっても、将来を見とおすようそれとなく示唆を与えるという。これについては後述する。発表会のほうは、したがって自由発想の音楽もあれば、動画といかにシンクロさせるかをテーマに作られたものもあるし、ゲームを念頭に作られたものも、プログラミングの技能を極めるものもあって、多種多様。一概に批評する基準がないので、誰が優勝とか最悪とか書くわけにいかないのが妙に残念。1年の古川真梨亜がかわいかったことのみ報道しておく。

 ともかくこうして、発表会は、当初懸念された内輪ノリの学芸会的気配をほとんどかもし出すことなく、2時間半のプログラムをつつがなく終了した。

■職業としてのミュージック・クリエーターになるために

 さて、最も気になる卒業生の進路についてだ。櫻井学科長によれば、株式会社の正社員という形で就職するのはクラス全体の2、3割。就職希望先は主にゲーム・ソフト制作会社や音楽制作会社。あとは音楽関係の現場でアシスタントについたり、アルバイトを続けてなんとか音楽の道を邁進しようとする者、クラブDJ、着信メロディー制作で月収150万などというつわものもいる。しかし、将来結婚後まで考えると、学生が卒業後、不安定な立場に置かれることは心配でしょうがないと学科長は親心を隠さない。

 そして何より、正社員という形での就職希望者全員を会社に送り込めるわけではないという現状に対して力不足だと自らに喝を入れる。かつて、大阪のある会社を受験した学生が「ゾンビが歩いている効果音」という試験を出され、自信を持って望んだのに最終段階で落とされてしまった。学科長はその作品を聞き、こんな素晴らしいものを作ったのに、一体どうして?人格的にもあの子は文句なしなのに!あの子をとらずして誰をとる!と義憤に刈られた挙句、泣きながらうちに帰ったという。

 すなわち学科としての考え方は趣味を探求するような悠長な場所では絶対にないという認識がある。必ずしも音楽系に進めなくても、学生はコンピューターの扱いに秀でている。ワープロ、表計算などお茶の子さいさい、赤子の手をひねるより楽勝だ。そして前述したように社会人としてのマナー教育も忘れていない。日本電子専門学校コンピュータミュージック科は決してお楽しみ学科などではなかった。(増井)




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