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専門学校の「今」に鋭く迫る辛口コラム
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2001年1月号
調査 |
日本語学校事情 その14
〜学校教育法と日本語学校〜 |
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▼株式会社は学校教育法になじまないはウソ!
日本語学校の設置者は圧倒的に株式会社が多い。また、日本語学校は財団法人日本語教育振興協会の認定ではあるが、前号で見たように法律的な根拠はない。そこで、日本語学校も法律的な根拠がほしい、という声があがるのは至極当然のこと。
その際、どの省の管轄かについてはいろいろな考え方がある。学校だから文部省(文部科学省)だとか、設置者に商法法人が多いのだから通産省(経済産業省)だ、はては、入管に首根っこを握られているのだから法務省、などなど。
ここでは、もっとも素直と思われる文部科学省管轄ということを前提に以下考えて見よう。
文部科学省の学校とくれば、その根拠となるのが学校教育法。そこで、日本語学校を学校教育法の中に位置付けてほしいという声があがる。その際、物知りの人は必ず、「株式会社は学校教育法になじまない」という。そして、その言を聞いた日本が学校関係者は、納得、納得となっている。
本当に、学校教育法には株式会社はなじまないのか。なじむか、なじまないかを判断する前に、株式会社の学校(あくまでも学校教育法に定められた学校という意味で)に、かつて、そして現在、絶対に株式会社立の学校が存在しなかったか、また、現在も存在しないか、が問われなければならない。
結論をいえば、株式会社の学校は過去にもあったし、現在も存在する。したがって、株式会社は学校教育法になじまない、は真っ赤なウソということになる。ウソでないとすれば、知らないことをいいことに、人を騙すための単なる詭弁であるといってもよい。
▼私立学校はすべて学校法人
前ページに学校教育法の中で、今回のテーマに必要と思われる最小限の条文を掲載した。
まず、それをおさらいしたい。第1条は学校の種別を定義している。いわゆる、一条校といわれるのは、この第1条で定義された学校である。なお、ここで、短期大学と大学院がないではないか、と思われるかもしれないが、大学院はもともと大学の一部であったし、また、短期大学は、この法律の後にできた学校で、大学の章の中に組み込まれている。
第2条は、国立、公立、私立学校の定義である。この条文で明らかなように、私立学校はすべて学校法人によって設置され、それ以外、例えば、いくら公益法人といっても財団法人立などの私立学校は許されていない。
少しとんで、第102条。これは第2条の例外規定である。「学校法人であることを要しない」とあり、具体的には、個人立、財団法人立を許している。法制定から50年、依然として、皆さんの近くにも個人立の幼稚園は存在することはご承知のとおりである。
また、とんで83条。実は83条が先にあり、後から82条の2が制定された。いわゆる各種学校の規定である。各種学校に関しては学校教育法の条文はこれだけで、別に各種学校規程(昭和31年12月5日文部省令第31号)があり、そこで各種学校の設置基準が定めれれている。余談だが、日本語学校の設置基準は、ほぼこれに準じている。
なお、各種学校規程には、私立の各種学校は学校法人でなければならない、という規定はどこにもない。
最後に、82条の2。いわゆる専修学校規程(章)である。専門学校はこの専修学校の中の一部(といっても、大部分が専門学校ではあるが)の学校のことをいう。この専修学校の章はこの82条の2だけではなく、以下3〜10までの条文があり、83条の単純にして明快な各種学校と比較すれば格段に懇切丁寧な条文となっている。
専修学校にも各種学校と同じように、専修学校設置基準(昭和51年1月10日文部省令第2号)があり、さらにその細則もある。しかし、同様にどこにも私立の専修学校(専門学校を含めて)は学校法人でなければならない、という規定はない。
▼なじむかなじまないかは内容次第
第83条は第1条以外の教育施設を網ですくったような大ざっぱ規定なので、法律制定時に、いろいろな学校の設置形態があったであろうということは容易に想像できる。
しかし、それだけではない。各種学校の名簿(といっても、全国の各種学校が1冊になっている便利なものは存在しないが)を見ればわかるように、民法法人はもちろん、個人立の他に株式会社など商法法人の学校はゴマンとある。
また、専修学校(専門学校でもよい)の名簿を見れば、確かに、商法法人の学校はない。が、過去に例がなかったかといえば、間違いなく存在した。筆者が記憶している一番近い例では、十数年前に、茨城に有限会社立の専門学校が認可された(同校は現在では学校法人立に変っている)。
このように、学校法人は決して商法法人を必ずしも排除はしていないのである。しかし、だったら、すぐにでも日本語学校も、というのは早計であろう。いくつか超えなければならないハードル、特に教育内容、経営体質等についての十分な吟味・改善、そして、その結果として社会がそれを許容する内容の充実が必要であろう。(鎌田)
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